2019年3月11日月曜日

よく生きる通信Vol.33 「よく生きるとリーダーシップ」

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         ★よく生きる通信 vol.33★
          2019年3月号
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皆さん、こんにちは。
よく生きる研究所の榎本英剛です。

だんだんと春の気配が色濃くなってきた今日この頃ですが、皆さん
はいかがお過ごしでしょうか?

私の方は、先月は珍しく海外出張が一度もなく、人前に出る仕事
も比較的少なかったので、少し地に足がついた感じがしています。

さて、おそらく平成最後となる「よく生きる通信」をお届けします。
ぜひお目通しください♪

★今号のContents★

1.よく生きるコラム:「よく生きるとリーダーシップ」
2.よく生きるインフォメーション:
・本当の自分を生きるワークショップ(神奈川・藤野) 3/23-24
・Create Your Meaningful Work Train-the-trainer Program
(中国・上海) 4/27-29【満席】
・Active Hope Workshop (中国・北京) 5/3-5
・本当の自分を生きる対話の会(東京・都内) 5/9
・本当の自分を生きるワークショップ(神奈川・藤野) 6/29-30
3.よく生きるリソース:「リーダーシップに出会う瞬間」
有冬典子著(日本能率協会マネジメントセンター)
4.編集後記

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1.よく生きるコラム 「よく生きるとリーダーシップ」

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今回は「よく生きる」ということと「リーダーシップ」の関係に
ついて少し書いてみたいと思います。一見、この2つの言葉はあまり
関係がないように思えるかもしれませんが、私の中では実は同義と
言ってもいいくらい関係が深い言葉だと感じています。つまり、
「よく生きるとは、すなわちリーダーシップを発揮すること」で
あり、「リーダーシップを発揮するとは、すなわちよく生きること」
だと考えているわけです。

このことについて説明するにあたって、まず最初の糸口になると
思うのは、「人生を生きる」ということを英語ではどう表現するか
ということです。英語で「人生を生きる」ことを文字通り“live
one’s life”と言う時もありますが、もう1つよくつかわれる
表現として“lead one’s life”というものがあります。つまり、
彼の言語では「人生を生きることは自らの人生をリードすること」
であるととらえているわけです。もしも「自らの人生をリードする」
と言う表現にピンとこないようであれば、これを「自らの人生の
主導権を握る」と言い換えてみてもいいかもしれません。そう
すれば、よく生きるためには、まず自らの人生をリードする必要が
あることはすぐにご理解いただけるのではないでしょうか。

もちろん、リーダーシップというのは自分の人生をリードすること
だけではありませんが、同時に自分自身の人生すらリードできない
人が他者をリードすることはできないと私は思います。だからこそ、
リーダーシップとは、まずはセルフ・リーダーシップから始まると
私は考えるわけです。そして、このセルフ・リーダーシップを発揮
することこそが、人がよく生きる上で欠かせない前提条件だと
考えているのです。

では、セルフ・リーダーシップを発揮するために、一番大事なこと
は何でしょうか?一言で言うと、それは「自己対峙力」だと私は
思います。もう少し柔らかい言葉を使うとすれば、「自分と向き
合う力」とも言えますが、それは決して簡単に身につく力では
ありません。なぜそれが難しいかと言えば、自分を深く見つめよう
とすると、必然的に自らの強みだけでなく、弱みにも向き合わざる
を得なくなるからです。ただでさえ、普段の生活の中で他者と自分
を常に比較し、なかなか自己肯定感を持てずにいるのに、あえて
自分の弱みを見に行こうという人はあまりいないでしょう。しかし、
人の弱みというのは、往々にしてその人の強みと表裏一体であり、
自らの強みを知ろうと思えば、自らの弱みと向き合うことは避けて
通れません。こうした真摯な自己対峙を通して得られた自己認識が
あってこそ、どんな時でもぶれずにセルフ・リーダーシップを発揮
することができるのであり、それがよく生きることにもつながって
くるのです。

そんな想いもあって、現在、教鞭をとっている大学院大学至善館
では、「自己との対峙と基軸の確認」という半年間に及ぶ科目を
リーダーシップ教育の一部として担当しています。この科目では
「自分はいったい何者で、どこから来て、どこへ行こうとして
いるのか?」という問いを立て、ひたすら内省を促す構成になって
いるため、自分と向き合うことに慣れていない学生たちにとっては
なかなかしんどい経験になっているようですが、この経験を通して
彼ら彼女らがこの先よく生きるとともに、自分らしいリーダー
シップを発揮してくれることを願うばかりです。
(榎本英剛)

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2.よく生きるインフォメーション

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<<よく生きる研究所主催もしくは共催イベント>>

・本当の自分を生きるワークショップ(神奈川・藤野)
 3/23(土)-24(日)
 https://kokucheese.com/event/index/546467/
・Create Your Meaningful Work Train-the-trainer Program
  (中国・上海)4/27(土)-29(月・祝)【満席】
・本当の自分を生きる対話の会(東京・都内) 
 5/9(木)19:00-21:30
 https://hontounojibun2019.peatix.com/
・本当の自分を生きるワークショップ(神奈川・藤野)
 6/29(土)-30(日)
 https://kokucheese.com/event/index/557333/

<<榎本が登壇予定のイベント>>

・Active Hope Workshop (中国・北京) 5/3(金)-5(日)
  https://www.hdb.com/party/qemwn.html?from=groupmessage&
  isappinstalled=0

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3.よく生きるリソース 「リーダーシップに出会う瞬間」 
有冬典子著 (日本能率協会マネジメントセンター)

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私が著者の有冬典子さんと初めて出会ったのは、今から5年半ほど
前、私がリーダーの1人として関わらせていただいたCTIジャパン
主催のリーダーシップ・プログラムでした。その頃から「私を
生きる、あなたと生きる」という本書の中でも出てくる言葉を彼女
が口にするのを何度も耳にしてきました。この言葉が意味すること
を私なりに表現してみると、「自分らしく生きると同時に、周りの
人たちとも本音と本心でつながれるような関係を創る」ということ
になるでしょうか。少し考えてみるとわかると思いますが、これは
なかなか「言うは易く、行うは難い」目標です。なぜなら、多くの
人にとって、「自分らしく生きる」ことと、「他者と良好な関係を
築く」ことは、ともするとどちらかを立てるともう片方が立たない
というトレードオフの関係になりがちだからです。

本書は、まさにそのような関係を乗り越えてこの2つを両立する
ためにはどうすればいいのかということと、それを可能にすること
がいかにこれからのリーダーシップに欠かせないかということ
について成人発達理論を用いながら解説したものです。しかも、
ストーリー仕立てで書かれているので、とてもわかりやすく、その
ストーリーに引き込まれるように読み進めているうちに、いつの
まにか成人発達理論、そしてそれにもとづいたリーダーシップの
育み方という一見難しそうなテーマについての理解が深まっている
という構成になっています。

本書では、いくつか鍵となるコンセプトが紹介されていますが、
その中でも私が特にわかりやすいなと感じたものに、「エゴ・
リーダー」と「コア・リーダー」というものがあります。前者は
リーダーシップを発揮する際の起点が自らの保身にあるような
リーダーを言い、一方の後者はその起点が自らの「コアな願い」に
あるようなリーダーを言います。ここで「コアな願い」と言うのは
その人が無意識のうちに大事にしている「自分はこうありたい」と
いう信念であり、著者が言う「私を生きる、あなたと生きる」と
いうのは、まさに彼女にとっての「コアな願い」だと言えるで
しょう。そして、自らのコアな願いに気づき、それを起点にした
リーダーシップを発揮できるようになるためには、ともすると
保身に流れがちな自分の弱さと何度も向き合い、それを乗り越え
ていく必要があるのです。つまり、今回のコラムでも触れた「自己
対峙力」が必要になるわけです。

もう1つ、本書で紹介されるコンセプトの中で鍵となるのは、著者
がリーダーシップをどのように定義しているか、ということです。
著者はシンプルに、「リーダーシップとは影響力」と定義して
います。そして、リーダーシップを発揮する起点が自らの保身に
あるのか、それともコアな願いにあるのかによって、他者に与える
影響は決定的に異なると主張しています。だからこそ、まずは自ら
の起点がどこにあるかに気づくことは、自分をリードするだけで
なく、他者をリードする場合にも重要になってくるのです。

というわけで、本書はリーダーシップというテーマに関心のある
人にはぜひとも読んでほしい1冊です。

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4.編集後記

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私たちの人生を大きく揺さぶった東日本大震災から今日でちょうど
8年が経ちました。思い返せば、あの出来事は私にとって、自分が
よく生きること、そしてさらに自らのリーダーシップを発揮する
ことに対してコミットメントを高める強烈な契機になりました。

あれから8年、その時々で自分が呼ばれていると感じたことに
対して、可能な限り自分の時間とエネルギーを注いできましたが、
その根底にあるコアな願いは、一言で言うと「人間、こんなもん
じゃない」というものです。別の言い方をすると、それは「私たち
人間にはまだまだ発揮されていない可能性が眠っていて、それさえ
解き放つことができれば、今世界が直面している問題を乗り越え、
よりよい世界をつくることができるはず」という信念でもあります。

このことについてはまた改めて別の機会に書いてみたいと思います
が、その願いを実現するためには、まず私たち一人ひとりが自分の
中にある恐れを乗り越え、セルフ・リーダーシップを発揮すること
から始める必要があると感じる今日この頃です。

(発行責任者: よく生きる研究所 榎本 英剛)

※この通信は、これまでよく生きる研究所のイベントにご参加
いただいた方、およびホームページ等を通じて読者登録をして
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