2014年5月10日土曜日

よく生きる通信 Vol.7「ビジョンのジレンマ」

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         ★よく生きる通信 vol.7★
           2014年5月号
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皆さん、こんにちは。
よく生きる研究所の榎本英剛です。

連休はどのように過ごされたのでしょうか?
私はほとんど家の庭で畑仕事をしていました。
連休中はどこへ行っても混んでいるので、
その方が落ち着くかなと思いまして。

それでは、「よく生きる通信」の第7号をお届けします。
ぜひお目通しください♪

★今号のContents★

1.よく生きるコラム:「ビジョンのジレンマ」
2.よく生きるインフォメーション:
  ・5/18 未来からのラブレター(東京・両国)
  ・5/24-25 天職創造セミナー(神奈川・藤野)
  ・7/19-20 天職創造セミナー(神奈川・藤野)
3.よく生きるリソース:「U理論入門」
 (中土井僚著・PHP研究所)
4.編集後記

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1.よく生きるコラム 「ビジョンのジレンマ」

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個人がいい人生を生きる上で、あるいは組織や団体がいい経営・
運営を行う上で魅力的かつ明確なビジョンを持つことの重要性は
よく語られるところです。もちろん、魅力的かつ明確なビジョンを
持つことは、それが個人であれ、組織や団体であれ、未来に向けて
の推進力になることは疑いがありませんが、同時にそれは大きな
リスクをはらんでいると私は考えています。

では、魅力的かつ明確なビジョンを持つことにいったいどんな
リスクがあるというのでしょうか?それは、そのビジョンが魅力的
であればあるほど、そしてそれが明確であればあるほど、その
ビジョン以外の可能性が見えなくなってしまうというリスクです。

当たり前のことですが、未来を正確に予測することは不可能ですし、
将来起きることを完全にコントロールすることはできません。
したがって、魅力的かつ明確なビジョンの実現に向けて一歩を踏み
出した瞬間から何が起こるかわからないわけです。この際、自分の
描いたビジョンにあまりに固執してしまうと、そのビジョンの実現
と一見関係のなさそうな出来事が起きた時に、それを無駄なもの、
不要なもの、あるいは邪魔なものとして退けてしまいがちです。
ところが、そのような出来事の中にもしかしたら、自分にとって
現在のビジョンと同じくらい、あるいはそれ以上に魅力的な未来を
創造するのに役立つ情報が含まれている可能性だってあるかも
しれないのです。

何が起きるかわからない未来の可能性を1つのビジョンに限定して
しまうことで、それ以外の未来を創造する可能性に扉を閉ざして
しまうのだとしたら、そもそも魅力的かつ明確なビジョンを持つ
ことがよりよく生きる上で、あるいはよりよい経営を行う上で役に
立つことなのだろうかという疑問が出てきます。これが、私が
「ビジョンのジレンマ」と呼んでいるものです。

このジレンマを解消するために、私がやっているのは「ビジョンを
ゆるく握る」ということです。「ゆるく握る」というのは、
いつでも変える用意があるということです。私は、ビジョンとは
「ベクトル」のようなものだと思っています。つまり、次にどこに
向かって足を踏み出せばいいかという方向性を示してくれると
同時に、その一歩を踏み出すためのエネルギーを与えてくれるもの
だと考えているわけです。ということは、その一歩を踏み出して
さえしまえば、そのビジョンの役割は果たしたことになります。
そして、一歩を踏み出すとたいがい予期しない出来事が起こるので、
それを意味のある情報として受け止め、必要があればその情報を
統合した新たなビジョンを描きます。要するに、一歩進むごとに
ビジョンを「更新」するわけです。

このようにすれば、魅力的かつ明確なビジョンを持つことのリスク
を回避しつつ、そのようなビジョンを持つことのメリットを享受
することができるでしょう。魅力的かつ明確なビジョンに固執し、
それをあまりに強く握り過ぎると、いつしかそれは「実現したい
もの」から「実現しなくてはならないもの」になっていき、
ますますその個人やその組織・団体を縛るものになっていく恐れが
あります。それはもはや「未来をコントロールする」どころか、
逆に「未来にコントロールされている」状態になっているという
ことです。

未来といい関係を築くには、最初から1つの未来に決めてかかる
より、一歩進む度にひもとかれる未来が投げかけてくる出来事に
抵抗せずにそれらをすべて材料としてその都度新しい未来を創造
していくという姿勢が必要になるのではないでしょうか?そう、
あたかも未来とダンスするかのように。
(榎本 英剛)

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2.よく生きるインフォメーション

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<<よく生きる研究所主催もしくは共催イベント>>

【天職創造セミナー】キャンセル待ち受付中!
・日程:5月24日(土)・25日(日)
・会場:神奈川県・藤野 無形の家
・参加費:45,000円 ユース割引(30歳未満)30,000円
・定員:18名
・詳細:http://kokucheese.com/event/index/142178/
・備考:キャンセル待ちをご希望の方は、以下のアドレス
までご連絡ください。info@yokuikiru.jp

【天職創造セミナー】絶賛募集中!
・日程:7月19日(土)・20日(日)
・会場:神奈川県・藤野 無形の家
・参加費:45,000円 ユース割引(30歳未満)30,000円
・定員:18名
・詳細・お申し込み:http://kokucheese.com/event/index/160180/

主催・共催ではありませんが、以下のイベントにも登壇します!

【リン・ツイストのチェンジ・ザ・ドリーム・シンポジウム
~未来からのラブレター~】残席少なくなってきています!
・日程:5月18日(日)
・会場:東京・両国KFCホール
・参加費:詳細参照
・詳細・お申し込み:http://peatix.com/event/31267/

また、公開プログラムではありませんが、5月29・30日に福島県の
田村市で被災地の支援活動に取り組んでいる人たち向けに
2日間の「アクティブ・ホープ・ワークショップ」を実施します。

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3.よく生きるリソース 「U理論入門」
               (中土井僚著・PHP研究所)

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「U理論」とはマサチューセッツ工科大学上級講師であるC.オットー・
シャーマー博士が提唱したもので、過去の延長線上にはない未来を
個人、組織、社会などのあらゆるレベルで創造するための実践的な
変革理論です。本書の著者である中土井僚さんは私の古くからの
知り合いで、3年ほど前にシャーマー博士が書かれたその名もずばり
『U理論』という本をパートナーの由佐美加子さんとともに訳し、
日本で初めて本格的にこの理論を紹介した人です。

中土井さん自身が本書のプロローグで書かれていますが、シャーマー
博士の『U理論』は600ページを超える学術書であるため、より
わかりやすく、実践しやすい入門書が必要であると感じられて、
本書を執筆することになったそうです。何を隠そう、私自身も
『U理論』が出版されると同時に購入するにはしたのですが、その
あまりの厚さになかなかページを開く勇気が出ず、本棚の一隅を
飾るだけになっていて、今回本書が出版されたことでようやく
U理論の概要を理解することができました。

読んでいて意外だったのは、この理論が個人としてどう生きるか
ということについても言及している点でした。というのも、私は
てっきりこの理論は組織や社会などより大きなシステムをどう変革
するかという理論であり、手法だと思い込んでいたからです。
そういう視点から本書を読んでみると、今回の「よく生きるコラム」
でも取り上げたように、「未来をどう創造するか」について私が
これまで考え、実践してきたことと共通する部分が多いことに気が
つきました。

これまで、個人や組織が未来のビジョンを描いたり、それに
もとづいて目標や計画を立てたりする時、往々にして過去の経験を
通して得られた情報だけを頼りにして、今何が起きているか、何を
感じているかということに対して必ずしも心を開いていないという
傾向が強かったように思うのですが、それだと革新的な未来を創造
することは難しいという気がします。私の場合、そのようなやり方
に何となく違和感を感じ、論理的にというよりはかなり感覚的かつ
直感的に現在のようなやり方をするようになったのですが、U理論
では、革新的な未来をより確実に創造するための「7つのステップ」
と呼ばれるプロセスを提示しています。

ものすごく簡潔にその7つのステップを紹介すると、まず過去の
経験によって培われた枠組みで判断する(①ダウンローディング)
のを保留し、今起きていることを新鮮な目で観て(②観る)、
そこで感じたことに心を開いた時に(③感じ取る)自然と湧いて
くるイメージや感覚(④プレゼンシング)を形にし(⑤結晶化)、
試行錯誤を通して(⑥プロトタイピング)より具体的なものに
していく(⑦実践)というプロセスを意識的に経ていきます。
ここで肝心なことは、「どんな未来を創造するか」ということ
よりも、特に上記①~④で表現されている「どんな意識から未来を
創造するか」ということです。

言葉にすると簡単に聞こえるかもしれませんが、これはかなり
意識的な訓練が必要だと思います。私自身、しばらくは自分なりの
やり方を保留し、この「7つのステップ」を意識して革新的な未来
の創造に取り組んでみたいと思います。

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4.編集後記

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来週はいよいよパチャママ・アライアンスの共同創設者であるリン・
ツイストさんとチェンジ・ザ・ドリーム・シンポジウムを行います。

200人以上参加されるということで、日に日に緊張感が高まって
きました。でも、リンとシンポジウムをリードできる機会に恵まれる
人は世界でもそう多くいないと思うので、この滅多にない幸運な機会
を思い切り楽しみたいと思います。これがまた新しい未来を創造する
きっかけになることを信じて。

(発行責任者: よく生きる研究所 榎本 英剛)

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