2019年7月16日火曜日

よく生きる通信 Vol.34 「未来の創り方には2通りある」

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         ★よく生きる通信 vol.34★
          2019年7月号
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皆さん、こんにちは。
よく生きる研究所の榎本英剛です。

ここ関東圏では、例年になく涼しい梅雨を過ごしていますが、
皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

さて、この秋から約3年ぶりに「天職創造セミナー」を復活再開する
ことになりました。この3年間、私は中国や韓国などアジア諸国で
このセミナーを多数開催してきましたが、異なる文化や言語を持つ
人たちにこのコンセプトを紹介する中で、このコンセプトがこれら
の国々でも十分通じることを確認するとともに、その伝え方につい
ても試行錯誤を重ねてきました。この度、この“武者修行”を通じ
て得たものを日本の人たちにも還元すべく、再開することを決意
するに至りました。

この再開を記念し、年内の9月と12月に開催するセミナーに限り、
「再開割引」と称して通常よりも安い参加費でご提供することに
なりましたので、ぜひこの機会にご参加いただければと思います。
詳しくは、このメルマガ本文内の「よく生きるインフォメーション」
に掲載したリンクをご覧ください。

では、令和初となる「よく生きる通信」をお届けします。
ぜひお目通しください♪

★今号のContents★

1.よく生きるコラム:「未来の創り方には2通りある」
2.よく生きるインフォメーション:
・「本当の自分を生きる」をU理論・成人発達理論から考える
(東京・日本橋) 8/27
・スザナ&ヤコブ・ダーリングカン&榎本英剛氏 対談 9/12
・天職創造セミナー(神奈川・藤野) 9/21-22
・本当の自分を生きる塾(オンライン) 10/22-2/4
・天職創造セミナー(神奈川・藤野) 12/21-22
3.よく生きるリソース:「なぜ今、世界のビジネスリーダーは
東洋思想を学ぶのか」田口佳史著(文響社)
4.編集後記

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1.よく生きるコラム 「未来の創り方には2通りある」

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私は、未来を創る方法は大きく分けて2つあると思っています。
1つは、現在多くの人が無意識のうちに採用している「結果志向」
の創り方。そして、もう1つは最近少しずつ採用する人が増えて
きた「プロセス志向」の創り方です。

「結果志向」の未来の創り方とは、まず達成したいビジョンや目標
を思い描き、そこに最短距離で到達できそうな方法を考え、それに
もとづいて戦略や計画を立て、さらにそれに沿って着実に行動を
起こしていくという方法です。これが現在多くに人にとってデフォ
ルトになっている未来の創り方です。あまりにそれが当たり前に
なってしまっているため、それ以外の未来の創り方などあるのかと
思われる人もいるかもしれませんね。

一方の「プロセス志向」の未来の創り方とは、「今、何が起きて
いるのか」に焦点を当て、その中から立ち現われようとしている
未来の芽を感じ取り、その芽が自然に芽吹き、成長し、やがて実を
結べるよう手を貸していくという方法です。これは、あまりに
従来の未来の創り方と異なるため、何のことだかさっぱりわから
ないと感じられる人も多いかもしれませんね。

この短いコラムの中で、両者の違い、そして特に後者の「プロセス
志向」の未来の創り方についてわかりやすく説明するのはなかなか
難儀なことですが、頑張ってみたいと思います。ちなみに、これら
2つの方法はどちらかが優れていて、どちらかが劣っているという
ことではないとは思いますが、今の時代状況を考えると、私は
少なくとも自分が慣れ親しんでいるものとは異なる未来の創り方が
あることは知っておいた方がいいと思っています。

現在がVUCAの時代と言われるようになって久しいですが、これは
Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity
(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったもので、
一言で言うと将来が予測不能な時代だということです。世の中が
比較的安定していて、変化を予測しやすかった時代は「結果志向」
でよかったかもしれませんが、VUCAの時代においてこのやり方に
固執することには危険性があると思います。

というのも、「結果志向」における結果やそこに至る方法などを
考える時、何が根拠になっているかというと、それは過去の経験、
特に過去の成功体験が根拠になっている場合が多いからです。
つまり、未来を見ているようで、それは過去の単なる焼き直しに
過ぎなかったりするわけです。でも、実際にその未来が到来した
時には、当初思い描いていた結果や方法がまったく通用しない、
あるいは的外れなものになってしまっているということが大いに
あり得るわけです。

もう1つ、「結果志向」の問題を上げるとすれば、それが恐れから
来ているという点です。というより、こちらの方が先ほど述べた
「時代に合わない」という問題より大事かもしれません。「結果
志向」による未来の創り方は、思い描いた通りの未来という
「製品」を、思い描いた通りの方法で「製造」する工業的で操作
主義的な方法です。そして、その根底には「もしも思い描いた通り
にならなかったらどうしよう」という不安・恐れがあります。
それ故、極力不確かな要素を排除し、未来をコントロールしよう
とするわけです。

逆に、「プロセス志向」の未来の創り方では、そもそも未来は
不確かなもので、人間の思った通りになどなるものではないという
前提から出発します。しかし、宇宙にはより大きな調和に向かって
進化していく力が働いており、その力は自分を含めてこの宇宙に
存在するあらゆるものを通じて働いているので、自分の内外で
起こっていることに注意を払っていれば、どんな未来が自分を
通じて立ち現われようとしているのかが感じ取れます。古代中国
の哲学者である老子はこの宇宙に働く力を「道(タオ)」と呼び、
自分を通じて立ち現われようとしている未来を自分の恐れで
コントロールしようとするのではなく、むしろそれが芽吹き、
成長し、実を結べるように手を貸すことを「無為の為」と呼び
ました。私はこうした未来の創り方の方が自然かつ有機的で、
さらに宇宙に対する信頼にもとづいているので、常に不安や恐れ
にとらわれないで済むという大きな利点があると感じています。

さて、皆さんはどんなふうに未来を創りたいですか?
(榎本英剛)

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2.よく生きるインフォメーション

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<<よく生きる研究所主催もしくは共催イベント>>
・天職創造セミナー(神奈川・藤野) 9/21(土)-22日(日)
 https://kokucheese.com/event/index/569806/
・本当の自分を生きる塾(オンライン) 10/22(火)-2/4(火)
 https://kokucheese.com/event/index/569824/
・天職創造セミナー(神奈川・藤野) 12/21(土)-22日(日)
https://kokucheese.com/event/index/569808/
 
<<榎本が登壇予定のイベント>>
・「本当の自分を生きる」をU理論・成人発達理論から考える
(東京・日本橋) 8/27(火)  19:00-22:00
 https://peatix.com/event/724480
・スザナ&ヤコブ・ダーリングカン&榎本英剛氏対談
(東京・日比谷) 9/12(木)  19:00-21:00
 https://www.kokuchpro.com/event/c656603d3c9c6df8d39fa6c42058b7ae/

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3.よく生きるリソース 「なぜ今、世界のビジネスリーダーは
東洋思想を学ぶのか」 田口佳史著 (文響社)

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著者の田口佳史氏は東洋思想研究家であり、長らく東洋思想をベース
とした仕事論、人生論、リーダーシップ論を唱えてこられたこの分野
の第一人者です。まだお目にかかったことはないのですが、現在私が
教鞭をとっている大学院大学至善館でも教えられるご予定なので、
いずれお目にかかれるのではないかと今から楽しみにしています。

本著の題名が示す通り、昨今、世界のビジネスリーダーたちが
こぞって東洋思想を学ぶようになっているとのこと。著者は、それが
西洋近代思想から生み出された現在のあらゆるシステムが機能不全に
陥っており、多くの人たちがその突破口を西洋近代思想とはまったく
異なる東洋思想に求めているからだと述べています。私自身も、
現在、世界が直面している問題の根っこには西洋近代思想があり、
それを乗り越える上で東洋思想が大きな役割を果たすと考えている
ので、興味深く読ませていただきました。

では、東洋思想が私たちにもたらし得るものは何か。著者は「7つ
のパラダイム・シフト」と称し、今世界で以下に挙げた7つの変化が
起きており、それらがすべて東洋思想に根差していると主張して
います。すなわち、「機械的数字論から人間的生命論へ」「結果主義
からプロセス主義へ」「技術・能力偏重から人間性重視へ」「見える
世界、データ主義から見えない世界、直観主義へ」「外側志向から
内側志向へ」「細分化・専門化型アプローチから包括的アプローチへ」
「自他分離・主客分離から自他非分離・主客非分離へ」の7つです。

これら7つの変化はすべて私も実感として感じており、納得のいく
ものばかりでした。特に、2つ目の「結果主義からプロセス主義へ」
という変化に関しては、今回のよく生きるコラムで取り上げた
「2通りの未来の創り方」でも述べた通り、VUCAと言われる予測困難
な今の時代においては欠かせないシフトだと感じています。

これをきっかけとして、今後さらに東洋思想について学びを深めて
いきたいと思っています。

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4.編集後記

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私が現在提供している「天職創造セミナー」および「本当の自分を
生きる塾」はそれぞれ仕事、そして人生をテーマとしたプログラム
ですが、両方とも今回ご紹介した「プロセス志向」の未来の創り方
にもとづいたものになっています。そして、これが実は東洋思想に
深く根差したものであったことと、私がこの数年、中国や韓国など
東アジアの国々で上記のプログラムを提供することに力を入れて
きたことは、もしかしたら何か関係があるのかもしれません。
私としては、ただ自分を通じて立ち現われようとしている未来の芽
に注意を払い、それが芽吹き、成長できるよう手を貸してきただけ
なのですが、この先どんな実を結ぶのかが楽しみです。

(発行責任者: よく生きる研究所 榎本 英剛)