2014年8月10日日曜日

よく生きる通信 Vol.10「WorkとJobの違い」

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         ★よく生きる通信 vol.10★
           2014年8月号
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皆さん、こんにちは。
よく生きる研究所の榎本英剛です。

大型の台風が通過中ですが、皆さんのところは大丈夫でしょうか?
近年は気候変動の影響か、極端な天候とそれにともなう大規模な
自然災害が世界各地で発生していますので、くれぐれもお気を
つけくださいね。

それでは、「よく生きる通信」の第10号をお届けします。
ぜひお目通しください♪

★今号のContents★

1.よく生きるコラム:「WorkとJobの違い」
2.よく生きるインフォメーション:
・9/20-21 天職創造セミナー(神奈川・藤野)
・11/7-9 アクティブ・ホープ・ワークショップ(長野・女神山)
3.よく生きるリソース:「ワーク・シフト」
(リンダ・グラットン著 プレジデント社)
4.編集後記

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1.よく生きるコラム 「WorkとJobの違い」

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WorkとJob。一般的に、前者は「仕事」、後者は「職」もしくは
「職業」と訳されることが多いと思いますが、日本語でも英語でも、
両者は日常においてほぼ同じような意味で使われている場合が
ほとんどのような気がします。それが典型的に表れるのは、
「あなたの仕事は何ですか?」と問われた時の答えです。この時、
たいていの人は「○×会社で営業をしています」とか「雑誌の編集
をしています」といったように、特定の職もしくは職業の名前で
答えるでしょう。しかし、私はWorkとJob、仕事と職/職業の間
には非常に大きな違いがあると感じています

宗教家のマシュー・フォックスは「WorkにとってJobとは、木に
とっての葉っぱのようなものである」と言っています。つまり、
職や職業というのは仕事全体から見ればほんの小さな一部に
過ぎないということですね。これはいったいどういうことなの
でしょうか?このことを考えるにあたってはそもそも「仕事とは
何なのか?」について考える必要があります。

「仕事」とは「仕える事」と書きます。つまり、それは「奉仕」
であり「貢献」である、ということですね。では、「仕える」
というのは誰に仕えることなのか?それは間違っても、上司とか
会社とかではありません。そうではなくて、それは「他者」や
「世の中」だと思います。「働く」の語源は「傍(はた=他者)
を楽(らく)にする」から来ているというのも、同じような考え
だと言えるでしょう。

翻って、今の世の中では「仕事とは、自分や家族が生計を立て
られるよう何らかの職/職業に就くこと」だととらえられている
風潮があります。もちろん、生計を立てる必要はありますが、
それは自分が世の中に貢献するための基盤として必要なので
あって、それ自体が仕事の目的ではないと思います。さらに
言えば、自分が世の中に貢献する上で何か特定の職や職業に就く
必要は必ずしもないような気がします。というのも、職や職業は
自分の世の中に対する貢献を収入に転換するためのしくみの
ようなところがあるので、「仕事=職業」というとらえ方を
していると、自ずと「仕事=収入」という図式にはまり、自分の
貢献を収入が伴うものに限定する傾向が強くなるからです。

しかし、考えてみれば、世の中は収入を伴わない貢献であふれて
います。家庭の主婦(主夫)はその最たる例でしょうし、正規の
ボランティア活動に限らず困っている人を助けたり、心許せる
友人のようにただそこにいてくれるだけでありがたいという存在
もいます。このように考えると、自分がその時その場でできる
ことをただ自然にやることが「仕事」であるととらえることも
できるかもしれません。そして、そうとらえると先ほど紹介した
フォックスの言葉の意味も理解できるのではないでしょうか?

フォックスは次のようなことも言っています。すなわち、「この
宇宙に存在するありとあらゆる生き物は皆、それぞれ自分の仕事
をしています。星も木も、イルカも草も、森も雲も、鶏も象も、
仕事をしていない存在などいません」。言い換えれば、皆、それ
ぞれがもっとも自然な形で世の中に貢献しているわけです。収入
も職業も関係ありません。収入や職を失って「仕事がない」など
と大騒ぎしているのは人間くらいでしょう。ましてや気候変動
から環境破壊、貧富の格差、戦争やテロなど貢献が必要とされて
いることが山ほどある状況の中、本当は「失業」などしている
場合ではないのかもしれません。

このような想いから、私は「天職創造セミナー」を定期的に開催
し、Jobとしての仕事ではなく、Workとしての仕事、すなわち
自分がもっとも自然に、そしてもっとも世の中に貢献できる仕事
は何かということを、仕事そのものを再定義するところから
見つめていくということをやっています。フォックス曰く、「木が
病んでいる時に葉っぱを取り替えても何の意味もなく、その根っこ
を見ていかなければならないのと同様、仕事に喜びを見出せない
時に職を取り替えても意味がなく、仕事とは何かを見ていかなけ
ればならない」。本当にそうだなとつくづく思う今日この頃です。
(榎本 英剛)

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2.よく生きるインフォメーション

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<<よく生きる研究所主催もしくは共催イベント>>

【天職創造セミナー】
・日程:9月20日(土)・21日(日)
・会場:神奈川県・藤野 無形の家
・参加費:45,000円 ユース割引(30歳未満)30,000円
・定員:18名
・詳細・お申し込み:http://kokucheese.com/event/index/184061/

【アクティブ・ホープ・ワークショップ】
・日程:11月7日(金)~9日(日)
・会場:長野県・上田 女神山ライフセンター
・参加費:65,000円 
 ※9/7までにお申し込みいただいた方には早割55,000円を適用
 させていただきます。
・定員:30名
・詳細・お申し込み:http://kokucheese.com/event/index/193057/

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3.よく生きるリソース 「ワーク・シフト」
          (リンダ・グラットン著・プレジデント社)

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著者は経営組織論の世界的な権威で、現在ロンドン・ビジネス
スクールで教鞭をとっているリンダ・グラットン氏。本書は氏の
ティーンエイジャーになった2人の息子たちと将来どんな職業に
就きたいかについて話をした時、ろくなアドバイスができなかった
ことがきっかけで書かれたそうです。具体的には、2025年の近未来
に仕事の世界がどうなっているかを、漫然と迎える場合と主体的に
築く場合に分けて、それぞれ3つずつのシナリオを提示し、後者の
シナリオに近い未来を実現するために必要な3つのシフトを解説
しています。

その3つのシフトとは、「ゼネラリストから連続スペシャリストへ」、
「孤独な未来から、協力して起こすイノベーションへ」、そして
「大量消費から情熱を傾けられる経験へ」です。ちなみに、どうして
このようなシフトが必要となるかの根拠については、「テクノロジー
の進化」「グローバル化の進展」「人口構成の変化と長寿化」「社会
の変化」「エネルギー・環境問題の深刻化」という5つの要因を
挙げています。これらの要因はさらに32の現象に分けられていて、
これらをどう組み合わせるかで見えてくる未来の仕事像が変わって
きますが、そのうちの代表的なシナリオが本書で取り上げられている
というわけです。

これらのシナリオは物語形式となっているのでリアリティがあり、
読んでみると、さながらSF小説を読んでいるかのような感覚に陥り
ます。ただ、著者自身が断っているように、未来を正確に予測する
ことは不可能であり、大事なことはここに書かれていることを参考
にしつつも、変わっていく現実の被害者になるのではなく、その変化
の波に乗りながら主体的に自分の人生を切り拓いていくことだと
思います。そして、そのためにも今号のコラムで書いたように、Job
ではなくWorkの視点から「自分にとって仕事とは何か」をとらえ直す
必要があるのではないかと、本書を読んでしみじみと感じました。

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4.編集後記

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実は、今回の「よく生きるコラム」で取り上げたような「仕事」を
テーマとした本を早ければ今年の年末にある出版社から出すことに
なりました。

この本の内容は、約20年前、アメリカに留学した際に「仕事」に
ついて研究し、「天職創造」というコンセプトでまとめたものが
土台となっています。これまでも何度か出版のチャンスはあったの
ですが、なぜかタイミングが合わず今日に至りました。それを
ようやく世に出せることに、今は喜びというより、安堵感を感じて
います。仕上げ、がんばらなくては!

(発行責任者: よく生きる研究所 榎本 英剛)

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