2019年10月23日水曜日

よく生きる通信 vol.35 「人生のプロトタイピング」

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         ★よく生きる通信 vol.35★
          2019年10月号
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皆さん、こんにちは。
よく生きる研究所の榎本英剛です。

ここに来て、だいぶ秋らしくなってきましたが、皆さんはいかが
お過ごしでしょうか?

私は昔から腰が弱く、よく季節の変わり目にぎっくり腰になるの
ですが、ここのところ2回立て続けにやってしまい、難儀して
いるところです。皆さんもどうぞお気をつけください。

さて、約3ヶ月ぶりとなる「よく生きる通信」をお届けします。
ぜひお目通しください♪

★今号のContents★

1.よく生きるコラム:「人生のプロトタイピング」
2.よく生きるインフォメーション:
・本当の自分を生きる塾(オンライン) 10/22-2/4
・本当の自分を生きる塾(オンライン) 10/23-2/5
・天職創造セミナー(神奈川・藤野) 11/3-4
・天職創造セミナー(神奈川・藤野) 12/21-22
3.よく生きるリソース:「ライフデザイン~スタンフォード式 
最高の人生設計」バーネット&エヴァンス著(早川書房)
4.編集後記

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1.よく生きるコラム 「人生のプロトタイピング」

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「プロトタイピング」という言葉、皆さんはご存知でしょうか?
日本語で言うと「試作品をつくる」というような意味になります
が、最近この言葉をいわゆる「ものづくり」以外の分野でもよく
耳にするようになりました。今回のコラムでは、このプロトタイ
ピングを私たちの人生に応用することの重要性について取り上げ
たいと思います。

ちなみに、このプロトタイピングは、従来の問題解決手法に対する
アンチテーゼとして注目を浴びる「デザイン思考」や「U理論」
においても、その主要な要素として取り上げられています。私自身、
以前からデザイン思考やU理論には何か惹きつけられるものを
感じていましたが、それはなぜなのかを考えてみると、両者ともに
前号で取り上げた「プロセス志向型の未来の創り方」を提示して
いるからだということに気づきました。そして、両者がともに
プロトタイピングを主要な要素として取り上げているということは、
すなわちプロトタイピングがプロセス志向型の未来の創り方に
おいて1つの鍵を握っているということではないかと思うのです。

少しおさらいをすると、未来を創る時に多くの人が採用するのは
「結果志向型」であり、最初にまずビジョンや目標を明確に設定し、
そこに最短距離で到達するための戦略や計画を立て、それを着実に
遂行していくというやり方です。一方、「プロセス志向型」は今
自分の内外で何が起きているのかに焦点を当て、その中に立ち
現われようとしている未来の芽を感じ取り、その芽が自然に芽吹き、
成長し、やがて実を結べるよう手を貸していくというやり方だと
前号のコラムで説明しました。

しかし、自分がその時感じていることがどのような未来の芽なのか
を明確に知ることはできません。せいぜい「こういうことなのでは
ないか」という仮説を立てることくらいしかできないでしょう。
それが仮説である以上、何らかの形で検証しなければなりません。
そして、検証というのは頭の中だけで行うことはできず、実際に
手足を動かして形にしてみる必要があります。これがプロトタイ
ピングです。そして、プロトタイピングを行う時の原則は「小さく
始める」ことです。つまり、それほどコストやエネルギーがかか
らず、リスクも高くない形で自分の仮説を検証してみるのです。

このことを人生に応用してみると、たとえばこんな感じになります。
海外留学をしたいと思うのだが、いきなり会社を辞めて留学する前
に、留学経験者の話を聞くとか、留学先として考えている大学を
実際に訪れ、授業を体験してみるといったことです。これは私が
かつて実際にやったことですが、これらのプロトタイピングを通し
て、徐々に留学するという自分の決意が固まっていきました。
しかし、多くの人は会社を辞めて海外留学するということを考えた
だけで、そこにかかるコストやリスクばかりに意識が行って、何の
行動も起こさずにその想いに蓋をしてしまったりします。これは
大変もったいないことだと思います。

人生を1つのアートと見た時に、最初からその完成形を明確に
描いてから取り組む、つまり「考えてから創る」という結果志向型
の創作方法もありますが、自分も人生を取り巻く環境もどんどん
変わっていくということを前提にした場合、それはむしろ不自然で
リスクが高い方法であると言えます。むしろ、その変化を材料
として使いながら、プロトタイピングを通して「創りながら考える」
というプロセス志向型の創作方法の方が自然でリスクが低いという
考え方もできると思うのですが、皆さんはどう思われますか?
(榎本英剛)

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2.よく生きるインフォメーション

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<<よく生きる研究所主催もしくは共催イベント>>
・本当の自分を生きる塾(オンライン) 10/22(火)-2/4(火)
 https://kokucheese.com/event/index/569824/
・本当の自分を生きる塾(オンライン) 10/23(水)-2/5(水)
 https://kokucheese.com/event/index/576850/
・天職創造セミナー(神奈川・藤野) 11/3(日)-4(月・祝)*
 https://kokucheese.com/event/index/573402/
・天職創造セミナー(神奈川・藤野) 12/21(土)-22日(日)*
https://kokucheese.com/event/index/569808/
 
*これらのプログラムは現在定員に達しておりますが、今後
キャンセルが出る可能性もありますので、参加ご希望の方は
以下のメールアドレスまでキャンセル待ちのご登録をお願い
いたします。
info@yokuikiru.jp

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3.よく生きるリソース 「ライフデザイン~スタンフォード式 
最高の人生設計」ビル・バーネット&デイヴ・エヴァンス著 
(早川書房)

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著者の2人はスタンフォード大学でデザイン思考にもとづいた
ライフデザインについて教えている同僚で、ライフデザイン・ラボ
の共同創設者でもあります。本書のことは、現在中国で私が開催
している「天職創造トレーニング・プログラム」に参加している
人たちから「この本に書かれていることと、あなたが私たちに
教えてくれていることはとても似ているので、ぜひ読んでみて
ほしい」と言われて知りました。

日本語版が出ていることを知らず、原書(Designing Your Life)
をさっそく取り寄せて読んだのですが、彼らが言った通り、その
内容はとても共感を覚えるものでした。ここでは、特に共感を
覚えた点を3つ挙げたいと思います。まず1点目は、実際にライフ
デザインのプロセスを始めるにあたって、自分が仕事や人生を
どう観ているかを確認する必要があると主張していることです。
このことは私が強調してもし切れないくらい大事だと思っている
ことで、拙著『本当の仕事』『本当の自分を生きる』においても
中心的なテーマとなっています。

2点目は、ライフデザインのプロセスにおいて、他者の協力を得る
ことの重要性について語っていることです。ともすると、自分の
仕事や人生に関することは独力で切り開かなければならないと
思い込み、他者に協力を仰ぐことなど思いつきもしないという人
が世の中多いと思います。しかし、デザインというのはなるべく
多くの人が関わった方が一般的にそのクオリティが高くなると
いうデザイン思考の考え方にもとづき、著者らは積極的に他者を
自らのライフデザインのプロセスに巻き込むことを薦めています。

最後の3点目は、今回のコラムでも取り上げたプロトタイピングの
重要性について強調している点です。デザイン思考そのものが
「考えてから創る」より「創りながら考える」ことを重視して
おり、それはものづくりだけでなくライフデザインでも同様だと
著者たちは言います。特に、具体的なプロトタイピングの方法
として、自分が興味のある分野ですでに仕事をしている人たちに
インタビューすることを薦めていることが「小さく始める」上で
理に適っていると感じました。

プロセス志向で未来を創ることに関心のある方にはぜひ読んで
いただきたい1冊です。

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4.編集後記

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明日から、韓国では初めての開催となる「天職創造トレーニング・
プログラム」という約半年間のプログラムがスタートします。実は、
最近何件かキャンセルがあり、最少催行人数を割ってしまったの
ですが、予定通り催行することに決めました。というのも、ご存知
のように現在、韓国と日本の政治的な関係は危機的な状況にあり
ますが、そういう時だからこそこのプログラムを実施する必要が
あると強く思ったからです。それをやったからといってどうなる
わけではないかもしれませんが、これも1つのプロトタイピング
だと思って、自分ができることをやってきたいと思います。

(発行責任者: よく生きる研究所 榎本 英剛)