2020年3月16日月曜日

よく生きる通信Vol.37 「お金はなくてはならないものか?」

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         ★よく生きる通信 vol.37★
          2020年3月号
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皆さん、こんにちは。
よく生きる研究所の榎本英剛です。

コロナウイルスが世界中で猛威を振るう中、仕事や家庭生活に
大きな影響を受けてらっしゃる方が多いと思いますが、皆さん
お元気にお過ごしでしょうか?

そんな不安定な状況ではありますが、今年初の「よく生きる
通信」をお届けします。ぜひお目通しください♪

★今号のContents★

1.よく生きるコラム:「お金はなくてはならないものか?」
2.よく生きるインフォメーション:
・本当の自分を生きる塾 (オンライン) 4/8-7/22
・天職創造セミナー(神奈川・藤野) 5/30-31
・よく生きるツアー2020@イギリス 6/5-18
・天職創造セミナー(神奈川・藤野) 8/29-30
3.よく生きるリソース:「happy Money」
本田健著(フォレスト出版)
4.編集後記

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1.よく生きるコラム 「お金はなくてはならないものか?」

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今回はこれまでこのメルマガで一度も取り上げてこなかった「お金」
について、私が考えていることを書いてみたいと思います。ただ、
このテーマについては、1回のメルマガだけで書き切るのは難しい
ので、何度かに分けて書こうと思います。

お金について書くにあたって、まず最初に考えなければならない
ことは、「はたしてお金はなくてはならないものか?」ということ
です。多くの人は、お金は生きていくために「なくてはならない
もの」と考えています。「お金がなければ、生きていけない(ある
いは、食べていけない)」と誰かが口にするのをこれまで何度耳に
したかわかりません。でも、はたして本当にそうなのでしょうか?

もしそれが本当なら、私たちはとっくの昔に種として絶滅していた
はずです。というのも、いわゆる「お金」というものが発明された
のは人類の歴史の中でも比較的最近のことだからです。では、お金
が発明されるまで、人類はどうやって生きていたのでしょうか?
よく知られているように、お金が発明される以前、人は自分たちが
生きていくために必要なものを基本的に自分たちで生産していたの
です。あるいは、自分が生産したものと他者が生産したものとを
直接交換していたのです。そもそもお金が最初に発明されたのは
この交換作業を不特定多数の人たちの間で円滑に行うためでした。

現代でも土地などの生産手段をある程度持っていれば、その気に
なればお金がほとんどなくても生きていくことはできます。いわ
ゆる「自給自足」的な生き方ですね。では、なぜ「お金がなくては
生きていけない」と多くの人が考えるようになったかというと、
生産活動の分業化が進み、かつ生産活動の比重が食料など生きて
いくために欠かせないものを生産する第1次産業から第3次・
第4次産業へとシフトすることで、生産活動と消費活動の距離が
極端に開いてしまったからだと思います。

人にはもともと生産者的な側面と消費者的な側面がありますが、
現代社会では上記のような理由で消費者的な側面が極大化して
しまっています。そして、消費者的な度合が高くなればなるほど
お金に対する依存度も高くなります。というのも、先に述べた
ように、お金には交換の利便性を高めるという本来の機能がある
ため、お金さえあれば消費者として何でも手に入れることが
できると考えるからです。したがって、「お金はなくてはならない
もの」という考え方は、自分が大部分において消費者であると
いうことを前提とした考え方だと言うことができます。

もちろん、この考え方が間違っているわけではありませんが、
問題はそう考えることで自分の人生がお金に支配され、何事も
お金次第になってしまうことです。「お金がなければ~できない」
とか「お金さえあれば~できる」といった表現は、まさにお金が
すべての前提条件となってしまい、自分の人生がお金に支配され
ていることを示しています。お金について考えるにあたって、
まず「はたしてお金はなくてはならないものか?」という投げ
かけから始めなくてはならないと私が考える理由はここにあり
ます。というのも、まずお金の支配から自由にならなければ、
このテーマに対して歪みのない形で正面から取り組むことができ
ないと思うからです。

もう1つ、「お金はなくてはならないもの」という考え方が孕む
危険性は、そう考えることでお金には幻想的な側面があることを
忘れてしまいがちだという点です。どういうことかというと、
お金そのものに価値があるわけではなく、その価値は特定の地域
内における信用にもとづいた交換価値でしかないということ
です。たとえば、外国に日本円を持って行って、食べ物と交換
したいと思っても、基本的には現地の通貨と両替しない限り
使えません。また、その国が経済的な危機に陥り、その通貨の
信用が失われれば、お金はたちまちただの紙切れに変わって
しまう可能性があります。したがって、銀行にいくら預金の
残高を積み上げても、それが将来にわたって絶対的な安心・安全
を保障してくれるわけではありません。それよりは自らの生産
活動の比重を高めたり、同じ地域内の生産者たちとの関係性を
強化したりした方がよほど保障になると思います。

勘違いしていただきたくないのは、私は決してお金は持っていて
も意味がないとか、全員が昔のような自給自足の生活に戻った方
がいいということを言っているわけではありません。私だって
仕事を通して人様からお金をいただきますし、必要なものを手に
入れるためにお金を使います。私がこのコラムを書いた目的は、
「お金はなくてはならないもの」と盲目的に信じ込むことの
危険性を指摘し、その呪縛から自らを解き放つことの重要性を
訴えることです。さて、皆さんはお金の支配からどれくらい  
自由でいられているでしょうか?
(榎本英剛)

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2.よく生きるインフォメーション

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<<よく生きる研究所主催もしくは共催イベント>>

・本当の自分を生きる塾(オンライン)4/8(水)-7/22(水)
 https://kokucheese.com/event/index/586951/
・天職創造セミナー(神奈川・藤野) 5/30(土)-31(日)
 https://kokucheese.com/event/index/590435/
・よく生きるツアー2020@イギリス 6/5(金)-18(木)
 https://kokucheese.com/event/index/588552/
・天職創造セミナー(神奈川・藤野)8/29(土)-30(日)
  https://kokucheese.com/event/index/593387/

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3.よく生きるリソース 「happy money」 
本田健著 (フォレスト出版)

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著者の本田健さんは言わずと知れたベストセラー作家で、代表
作の『ユダヤ人大富豪の教え』をはじめ、「お金」をテーマと
した著作をたくさん書かれています。本書は健さんが初めて
英語で書かれた本で、昨年、日本も含め世界25ヶ国で出版
されたものです。私が約2年前に『本当の自分を生きる』を
出版したあかつきには、帯にメッセージを寄せていただくなど
健さんには大変お世話になっていますが、昨年末にあるイベント
でご一緒した時に、光栄にも出版されたばかりの本書を直接
いただきました。

本書の中で健さんはお金にはhappy moneyとunhappy money
の2種類があると主張しています。前者は喜びや感謝とともに
受け取ったり支払ったりしたお金、後者は逆に恐れや不安と
ともに受け取ったり支払ったりしたお金のことです。そして、
どちらのお金の流れに入るかは、その人がこれまでの人生の
中でお金とどのような関係を築いてきたかによると言います。
この関係性を深く見つめることなしに、お金のIQ、すなわち
お金をどう稼ぎ、どう貯め、どう投資し、どう使うかに
ついての知識を高めても、お金のEQ、すなわちお金に対して
どのような感情を抱き、その感情がどこから来ているのかに
ついての認識が低いままなのでどれだけお金を持っていたと
しても、それはunhappy moneyであって、お金に支配された
状態から抜け出すことはできないというわけです。

これはとても重要な指摘だと私は思います。つい私たちは
健さんがお金のIQと呼ぶ、お金の外的・技術的な側面だけを
見てしまいがちで、お金のEQという内的・心理的な側面こそ
が私たちとお金の関係が健全であるかどうかを決定づけている
ことに気がついていません。完全な盲点になっていると言って
もいいでしょう。私が今回のコラムで取り上げた「お金は
なくてはならないもの」という考えも、お金に対する恐れや
不安にもとづいており、健さんの言うunhappy moneyの流れ
を生み出す主な原因となっているものです。この考えを無批判
的に受け入れていると、お金に必要以上の力を与えてしまう
ことになります。

お金の支配から自由になり、お金と健全な関係を築くためにも
本書が提案するように、まずはお金のEQを高め、happy
moneyの流れを生み出していくことが必要になるのでは
ないでしょうか。

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4.編集後記

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先月、私は思うところあって1ヶ月ほどアフリカ南部へ一人旅に
出かけてきました。具体的には、南アフリカ・ナミビア・ボツワナ
・ジンバブエ・サンビアの5ヶ国です。この辺りを訪れるのは
生まれて初めてのことで、特にナミブ砂漠の雄大さ、オカバンゴ・
デルタの広大さ、そしてビクトリアの滝の壮大さには心を大きく
揺さぶられました。

私たちはこの地球という星の上で日々忙しく生きていますが、
そこがいかに美しく、変化に富み、息を呑むほど素晴らしい場所
であるかということについてはあまり意識していません。せっかく
この星で生きるという奇跡に恵まれたのに、それを存分に味わう
ことなく人生を終えるのはもったいないとつくづく感じると同時に、
その美しさ、素晴らしさを味わえば味わうほど、それを未来の世代
にもしっかりと遺していかなければならないという想いも強く
湧いてきました。

(発行責任者: よく生きる研究所 榎本 英剛)