2016年3月31日木曜日

よく生きる通信Vol.22 「誇りとリーダーシップ」

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         ★よく生きる通信 vol.22★
           2016年3月号
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皆さん、こんにちは。
よく生きる研究所の榎本英剛です。

気がついたら、もう桜の季節となりましたが、皆さんいかがお過ごし
でしょうか?

私の方は、6週間にわたる「世界青年の船」事業がやっと終わったか
と思ったら、また2週間ほど中国での仕事があり、ようやく落ち着いて
メルマガが書ける状況になったところです。

では、「よく生きる通信」Vol.22をお届けします。
ぜひお目通しください♪

★今号のContents★

1.よく生きるコラム:「誇りとリーダーシップ」
2.よく生きるインフォメーション:
・2016/4/15-17  アクティブ・ホープ・ワークショップ(長野・女神山)
・2016/5/14-15 天職創造セミナー(神奈川・藤野)
・2016/7/23-24  天職創造セミナー(神奈川・藤野)
・2016/9/10-11 天職創造セミナー(神奈川・藤野)
3.よく生きるリソース:「WHYから始めよ!」
サイモン・シネック著(日本経済新聞出版社)
4.編集後記

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1.よく生きるコラム 「誇りとリーダーシップ」

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私は昨年から内閣府が主催する「世界青年の船」事業に関わって
います。この事業は別名「次世代グローバルリーダー事業」と
呼ばれていて、日本を含む世界11ヶ国から集まった18~30歳の
若者たち(この事業では彼ら・彼女らを性別に関わらず「参加
青年」と呼んでいます)200名以上と1ヶ月以上にわたり船の上で、
そして訪問した国でさまざまな活動やプログラムを行い、それら
を通してこれからの世界で通用するリーダーを育てることを目的
として、1988年以来開催されてきたもので、今年で28回目になり
ます。

昨年と今年、2年連続で関わらせていただいて一番感じたことは
「誇り」と「リーダーシップ」がいかに密接に関係しているか、
ということでした。日本の参加青年には申し訳ないのですが、
外国の参加青年に比べると、全体的にリーダーシップが弱いと
いう印象をどちらの回でも受けました。それは、日本の参加青年
の多くがまだ学生で社会人経験がないということ、そしてプロ
グラムがすべて英語で行われるということも影響していると思い
ますが、そのことを差し引いてもやはり物足りなさを感じざるを
得ませんでした。

日本の参加青年でこのメルマガを読んでくださっている方もいる
と思うので、その人たちの名誉のためにお断りしておきたいのは、
これは決して個人的な問題ではなく、より大きな国家的あるいは
文化的な問題であり、特に教育的な問題なのではないか、という
のが私の達した結論だということです。何より、日本の参加青年
自身が外国の参加青年との間にあるリーダーシップの差を痛感
したのではないかと思います。

このような差をもたらしているものはいったい何なのだろうかと
考えていて気がついたのが、外国の参加青年は総じて自分の国の
文化や歴史に大きな誇りを感じているということでした。それを
一番感じたのは国家斉唱の時でした。事業期間中に参加国の中で
建国記念日などの特別な日があると、朝礼の際に国旗を掲揚し、
国家を斉唱する場面があったのですが、彼らの歌う姿はいつも
気高く、自国に誇りを感じていることが全身から漲ってくるよう
でした。一方、日本の参加青年の場合、事業期間中に自国の建国
記念日があったにも関わらず、国家の斉唱が行われなかった
ばかりか、誰もそのような日であることに気がついていない様子
でした。

もちろん、国家を歌えば誇りが芽生えるというわけではあり
ませんし、私にしてもそれを学校で義務化すべきだか、そういう
ことを言いたいわけではありません。しかし、家庭での教育を
含めて若いうちから自国の文化や歴史について学び、それに誇り
を持てるような教育を施すことはグローバルな時代のリーダーを
育成していく上でとても大事な要素であると2回の事業参加を
通じて痛感しました。

このことは昨年、この事業でニュージーランドに行った時に彼の
国の先住民族であるマオリ族の学校を訪れた際、確信に変わり
ました。この学校では授業はすべてマオリ語で行われ、通常の
課目以外にもマオリの文化風習や歴史について徹底的に教えて
いました。小学生くらいの子どもたちがマオリ式の歓迎の儀式で
迎え入れてくれたのですが、まだ小さいその顔にもすでに誇りが
はっきりと表れていたのは衝撃的でした。なお、ニュージーランド
ではマオリ族以外の子供たちも学校でマオリの文化風習や歴史を
学ぶので、彼の国の参加青年は皆それらに通じているのも驚き
でした。

「誇り」という時、個人としての誇りもありますし、それも大切
だと思いますが、自分がより大きなものの一部であると感じる時、
その誇りはより地に足のついた力強いものになるのではない
でしょうか?そして、その誇りは自国の文化や歴史がもっとも
優れているといった排他的な優越感に基づくものであっては
ならないと思います。むしろ、お互いの国の文化風習を尊重し、
それらの違いを優劣ではなく、多様性がもたらす豊かさととらえ
る寛容さが必要だと思います。そのような「本物の誇り」を身に
つけた若い世代の台頭を心待ちにしたいと思います。
(榎本 英剛)

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2.よく生きるインフォメーション

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<<よく生きる研究所主催もしくは共催イベント>>

【アクティブ・ホープ・ワークショップ】<キャンセル待ち>
・日程:2016年4月15日(金)~17日(日)
・会場:長野県・上田 女神山ライフセンター
・参加費:65,000円 
・定員:24名
・詳細・お申し込み:http://kokucheese.com/event/index/340987/

【天職創造セミナー】
・日程:2016年5月14日(土)・15日(日)
・会場:神奈川県・藤野 無形の家
・参加費:45,000円 ユース割引(30歳未満)30,000円
・定員:18名
・詳細・お申し込み:http://kokucheese.com/event/index/357669/

【天職創造セミナー】
・日程:2016年7月23日(土)・24日(日)
・会場:神奈川県・藤野 無形の家
・参加費:45,000円 ユース割引(30歳未満)30,000円
・定員:18名
・詳細・お申し込み:http://kokucheese.com/event/index/357670/

【天職創造セミナー】<NEW!>
・日程:2016年9月10日(土)・11日(日)
・会場:神奈川県・藤野 無形の家
・参加費:45,000円 ユース割引(30歳未満)30,000円
・定員:18名
・詳細・お申し込み:http://kokucheese.com/event/index/382394/

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3.よく生きるリソース 「WHYから始めよ!」
   サイモン・シネック著(日本経済新聞出版社)

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著者はコロンビア大学の戦略的コミュニケーションプログラム講師
やランド・コーポレーションの非常勤研究員を務めながら、企業や
非営利組織のリーダーたちに対し「人をインスパイアする方法」を
伝授してきた新進気鋭のコンサルタント。2009年にワシントンで
開催されたTEDにおいて、本書で紹介されている「ゴールデン・
サークル」について彼が行った講演の動画は記録的な閲覧数を誇る
人気動画となったのでご覧になった方もいるかもしれません。

「ゴールデン・サークル」とは真ん中からWHY、HOW、WHAT
と広がる三重の円からなるシンプルなモデルで、人をインスパイア
するようなメッセージを発している個人や組織は必ずこの順番で
コミュニケーションをとっていると著者は言います。一方、世の中
の大半のメッセージはこの逆、すなわちWHAT、HOW、WHY
の順番になっていて、それはたとえどんなに丁寧で理に適ったもの
であったとしても決して人をインスパイアすることはないという
ことを彼はさまざまな例を挙げながら説明しています。

たとえば、アップル社がiPhoneやiPodなど携帯電話業界や音楽業界
を劇的に変えるような製品を次々と世に出し、熱烈なファンに支持
され続けているのは、必ずしも同社の商品開発力やマーケティング力
が原因というよりも、”Think different”というスローガンに表れ
ているように、同社が既存の考え方やしくみに対して挑戦し続ける
ことを企業理念とし、それを一貫して継続してるところにあると
著者は主張しています。つまり、同社の顧客は同社が「なぜ」その
ような商品を開発し、そのような事業を展開しているのかという
「なぜ=WHY」を買っているのであって、必ずしも商品という
「なに=WHAT」を買っているわけではない、というわけです。

私も仕事やリーダーシップについて取り上げる時に、「何をするか
よりもなぜそれをするのかの方が大事である」という話をよく
します。なぜなら、WHYこそがすべての原点であり、その人の
リーダーシップの源泉だと考えているからです。そのWHYが
はっきりとしている時、その人自身もそれに突き動かされるし、
周りの人もそれに感化され、自発的に動くようになるのです。この
WHYは別の言葉で言えば「志」であり、「大義」です。それを
欠いた時、リーダーシップは単なる「操作」となり下がってしまう
のです。

そういう意味で、本書のタイトルにあるように、何をするにもまず
は「WHYから始める」ことは仕事や経営、そして何よりも人生に
おいて重要だと思います。でも、それは口で言うほど簡単ではなく、
そうするためには常に深く自分を見つめる必要があるし、さらに
それをずっと忘れずに自分の中に持ち続けるためにはそれなりの
自己規律も必要となるでしょう。しかし、その見返りは本書が説く
ように非常に大きなものがあるはずです。まずはぜひ本書を読んで
いただき、なぜWHYから始める必要があるのかについてインス
パイアされるところから始めてみるのもいいかもしれませんね。

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4.編集後記

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先日、中国で初めて「アクティブ・ホープ・ワークショップ」を
実施しました。上海郊外にある陽澄湖というカニの養殖で有名な
湖のほとりにあるホテルで12名の参加者とともに、深く豊かな
3日間を過ごすことができました。

日中両国は現在、特に政治のレベルにおいて必ずしも良好な関係
にあるとは言えません。しかし、お互いがそれぞれの文化や歴史
を尊重し、本物の誇りに基づいた関係性を築くことができたら、
東アジアがこれからの世界においてリーダーシップを発揮していく
ことが可能だし、それが求められているのではないかと私は考えて
います。

そして、それこそが私が昨年から中国でリーダーシップ・プロ
グラムを行い、今回アクティブ・ホープを行うことになった元に
あるWHYなのです。

(発行責任者: よく生きる研究所 榎本 英剛)

※この通信は、これまでよく生きる研究所のイベントにご参加
いただいた方、およびホームページ等を通じて読者登録をして
いただいた方にお送りしています。

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からご覧いただくことができます。
http://yokuikiru-kenkyusho.blogspot.jp/

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